【ゲストハウス・民泊開業に追い風】建築基準法の改正内容って?

はじめに

2018年の6月20日に「建築基準法の一部を改正する法律案」が衆議院で可決され成立しました。

この改正は旅館業法の改正と並んでゲストハウス・民泊の開業にとても大きな影響があります。もちろんプラスの面でです。

この改正のテーマの一つが「既存建築ストックの活用」であることがそれを表しています。「既存建築ストックの活用」と書くと難しく感じますが要するに「空き家の活用」ですね。

今回の記事ではこの改正案の中でゲストハウス・民泊開業へ大きく影響してくる部分を取り上げていくので気になる方は是非最後までご覧ください!


法改正の主旨

そもそも今回の法改正はなぜされたかというとズバリ「空き家の活用のため」というのが一番の理由です。

知っている人も多いと思いますが現在日本の空き家は増加し続けています。増加率は昭和38年~平成25年の間の20年で1.8倍とまさに恐ろしいペースです。

空き家統計

この日本全国の空き家問題を解決するためには当然空き家を活用していくことが必要になります。ただ、何でもかんでも手段を選ばずに活用していいわけがなくそこに対する決めごとの一つとして建築基準法という法律があるのですがそれが空き家の活用促進への足枷となってしまっている面がありました。その足枷を外し空き家の活用をどんどん促進していこうというのが今回の改正の狙いの一つになります。


建物の用途変更の規制緩和

まず何と言っても重要なのが建物用途変更の規制緩和です。

この建物の用途変更が何かというと建物を新築した時の使い道を、別の使い道に変えるために必要な手続きのことです。

例えば住宅として新築された建物をゲストハウス・民泊として使用したい場合はこの手続きが必要になり、その手続きを「建築確認申請」といいます。

この「建築確認申請」がけっこう厄介でこれをする場合は建築士事務所に依頼しなければならず、けっこうな費用が必要になります。しかもこれをするには建物を新築した時に国が指定した検査機関がしっかりと法律を守って建てられているか検査したことを証明する「検査済証」が必要になります。古い建物だとこの「検査済証」が保管されてないケースが多く用途変更を諦めなければならないケースがとても多いのです。

ただこの「建築確認申請」は建物の使い道を変える部分(ゲストハウス・民泊として使用する部分)の床面積が100㎡以下の場合は必要ありません。しかし逆に言うと100㎡を超える建物には必要になるため例えば150㎡の戸建て住宅などは必要になりこれまでこのような建物の用途変更は断念してしまうのがほとんどでした。

しかし今回の改正で用途変更に必要だった確認申請が「100㎡を超える建物」から「200㎡を超える建物」に変更されます。これはとても大きい緩和で戸建て住宅の空き家で約6割を占める床面積101㎡~200㎡の建物の用途変更がとても簡単になるのです。

これは特に住宅をゲストハウスに用途変更したい人には大きな追い風になる改正であることは間違いありません!

基準法(改正)

耐火構造改修の規制緩和

用途変更と同様にこちらもとても重要な規制緩和です。

これまで3階建ての戸建住宅を宿泊施設(ゲストハウス・民泊含む)にする場合、必要な箇所に非常用照明の設置等をするのに加えて壁や柱等を耐火構造とする改修工事が必要でした。この改修工事はとても困難で建物を建替えるのと同じくらいのお金がかかるためほぼ不可能といっても良い状況でした。

それが今回の改正で3階建ての戸建住宅でも面積が200㎡未満であれば壁や柱等を耐火構造にする必要がなくなります。宿泊施設(ゲストハウス・民泊含む)の場合、各部屋に警報設備等の設置をし、これまで通り必要な箇所に非常用照明の設置等をすればOKになります。(ちなみに飲食店については何と非常用照明の設置のみでOK!)

この改正により今まで3階建ての時点で諦めていた戸建住宅にもゲストハウス・民泊にする可能性が広がってくることになります。もちろん200㎡未満でなくてはならないので注意は必要ですが。

3F建て

こんな建物にも可能性が出てきますね(^^)


検査は無いが法に適合させるのはマスト

ここでは少し注意点について書いていきます。

ここまで用途変更や耐火構造改修の規制緩和について書きましたがこれにより条件次第でこれまで必要だった複雑な手続きや検査、それにかかるお金が必要なくなります。

ただし、検査をしないからといって法に適合させなくても大丈夫ということでは絶対にありません。

たしかに役所の建築指導課や国が指定した検査機関への手続きは不要になりますが保健所や消防署の検査はこれまで通り必要なため建築基準法に違反していればそこから役所等へ確認をとるためどちらにしてもそちらの検査で許可が下りません。
※参照➡【旅館業法改正対応記事】ゲストハウス・民泊開業に必須な旅館業許可を取るまでのハードルって?

当たり前のことですがしっかり法律は守りましょう!

建築基準法

まとめ

今後も人口減少が進んでいく日本では同時に空き家もどんどん増えていくと思います。

空き家が増えてしまうと火災が発生した時に危険だったり関係ない人が住みついて周辺の治安が悪くなってしまったり様々な問題がさらに増えてしまうかもしれません。

その問題に対して国が建築基準法の改正に動いてくれたことは本当に素晴らしいことだと思います。

この記事は空き家をゲストハウス・民泊として使用することを前提に書いていますが今回の改正は飲食店や福祉施設にも当てはまるのでそのように使用したい人達にも参考にしていただけるととても嬉しいです。

そして空き家を資源として考え、色々な方法で活用されていけば日本はより素晴らしい社会になると思います。

まだ法案が成立したばかりで法律の施行日は公表されていないので情報は限られているのですが情報が入りしだい随時こちらの記事には追記していきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

参考資料:建築基準法の一部を改正する法律案改正概要

 

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