【知らずに購入して大丈夫?】民泊を始めるために外せない空き家選びのポイント⑥選

はじめに

最近にわかに注目を集め始めている”空き家投資”。
そしてその空き家を民泊として活用することで価値を何十倍、何百倍にすることも夢ではありません。

ただ、何の知識もなく購入してしまうと民泊を始めることもできないなんてことになりかねません。

そこでこの記事では民泊を始めるために外せない空き家選びのポイント6つを解説していきます。
是非最後まで読んでみてください!

ポイント①「用途地域」

民泊を始めるには行政に許可を得るか、届出を受理してもらわなければなりません。
大まかに説明すると2種類あり、1つ目が民泊新法と呼ばれる住宅宿泊事業の届出で、2つ目が旅館業の許可になります。

まずは民泊新法についてですが、営業日数が年間180日までと決められており、地域によってはさらに日数を制限しているところもあります。

旅館業の場合は旅館業法という法律で宿泊施設と認められているため、当然年間365日営業することができます。
ただその分、民泊新法よりも条件は厳しくなります。

建物の用途

建物というのは「学校」や「工場」など法律で種類が決められています。

これが建物の「用途」と呼ばれており建築基準法で旅館業をする建物は「旅館・ホテル」というカテゴリーになります。

これに対して民泊新法の場合、用途は「居宅」となります。

用途地域

日本には都市計画法にもとづく用途地域というものが定められており、それによって分けられた地域ごとに建てることのできる建物に制限がかかってきます。

その中に「ホテル、旅館」という項目があり地域ごとに旅館業の許可を取得できるかが記載されています。

要するに旅館業許可は取れる地域と取れない地域があるということです。

以下に旅館業許可OKな地域とNGな地域をまとめました。

旅館業許可OK 旅館業許可NG
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

アナタがもし、

「せっかく空き家投資をして民泊をするんだから年間365日営業できる旅館業が良い!」

ということであれば、この用途地域は特に注意しましょう。

それとは逆に、

「年間180日しか営業できなくても残りはマンスリーで貸すから大丈夫。」

ということであれば民泊新法でも問題ないので工業専用地域以外であれば旅館業NGの地域でも営業することができます。

  旅館業住宅宿泊事業
営業日数上限なし180日
建物用途ホテル・旅館居宅、長屋、共同住宅
又は寄宿舎
住居専用地域での営業

参考記事:【徹底比較】旅館業VS住宅宿泊事業(民泊新法)

ポイント②「自治体の上乗せ規制」

続いて”自治体の上乗せ規制”です。
基本的には国の法律を守って手続きをすれば民泊を始めることは出来るのですが、たまにイジワルな自治体の地域がありさらに上乗せで規制をしているんです。

例えば東京都の台東区で住宅宿泊事業の届出をして運営をする場合、管理者が常駐していないと実質週末しか営業することができず、これだと国が決めている年間180日には遠く届きません。

また旅館業の場合は原則としてフロントが必要になりますが、タブレット端末などのICT設備を設置すれば多くの自治体で省略することができます。
ただ、そのためにはチェックインや鍵渡し、名簿の記入などに漏れがないよう、常にカメラで監視し、緊急時に駆けつけられる体制を整えておく必要があります。

駆けつけ要件は自治体によって違い、徒歩10分以内と厳しい自治体もあれば、移動手段問わず10分以内ならOKとする自治体もあります。

ちなみに先程例にあげた東京都の台東区は旅館業の場合必ず民泊施設内にスタッフが常駐しなければならないという上乗せ規制があります。

その他の地域でも上乗せの条例があるところがあるので、物件のある地域にはないかしっかり物件のある地域の自治体に確認しておくことをオススメします。

東京23区の住宅宿泊事業(民泊新法)の上乗せ規制

千代田区 家主滞在型or常駐で文教地区等・学校等周辺以外の地域は制限なし
その他地域は金土のみor営業不可
中央区 土日のみ営業可
港区 家主居住型は制限なし
住居専用地域・文教地区の家主不在型は営業期間に制限あり
新宿区 住居専用地域は金土日のみ営業可
文京区 住居専用地域・文教地区は金土日のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
台東区 家主滞在型or常駐は制限なし
その他は土日祝・年末年始のみ営業可
墨田区 なし
江東区 土日のみ営業可
品川区 商業地域・近隣商業地域(文教地区を除く)は制限なし
その他は土日のみ営業可
目黒区 金土のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
大田区 住居専用地域、工業地域は不可
世田谷区 住居専用地域は土日祝のみ営業可
渋谷区 住居専用地域・文教地区は営業期間に制限あり
中野区 住居専用地域は金土日祝のみ営業可
杉並区 住居専用地域での家主不在型は金土日祝、祝前日のみ営業可
豊島区 なし
北区 なし
荒川区 土日のみ営業可
板橋区 住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可
(家主居住型は規制対象外の場合あり)
練馬区 住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
足立区 住居専用地域は金土日祝のみ営業可(年末年始を除く)
葛飾区 なし
江戸川区 なし

東京23区の旅館業法の上乗せ規制

自治体 常駐義務 フロント設置義務 駆けつけ要件 鍵渡し
千代田区 あり あり 常駐 直接対面
中央区 あり あり 常駐 直接対面
港区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
新宿区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
文京区 なし なし 10分以内 直接対面
台東区 あり なし 常駐 キーボックス不可
墨田区 なし なし 徒歩10分以内 キーボックス不可
江東区 なし なし 徒歩10分以内 キーボックス不可
品川区 なし なし 10分以内 制限なし
目黒区 なし あり(施設外可) 10分以内 直接対面
大田区 なし なし 10分以内 制限なし
世田谷区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
渋谷区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
中野区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
杉並区 なし なし 徒歩10分以内
(簡易宿所営業の場合は常駐)
制限なし
豊島区 なし なし 10分以内 直接対面
北区 あり あり 常駐(旅館営業の場合) 直接対面
荒川区 あり なし 常駐 直接対面
板橋区 なし なし 徒歩10分以内 直接対面
練馬区 あり なし 常駐(簡易宿所営業の場合) 直接対面
足立区 あり なし 常駐 制限なし
葛飾区 なし なし 徒歩10分以内 制限なし
江戸川区 あり なし 常駐 制限なし

ポイント③「建物の延べ床面積」

3つ目が”建物の延べ床面積”です。
これは建物全体の床面積のことで、用途変更をする時にとても重要になります。

この建物の用途変更が何かというと建物を新築した時の使い道を、別の使い道に変えるために必要な手続きのことです。

住宅として建てられた建物を先程解説した旅館業をとって民泊として365日営業したい場合はこの手続きが必要になり、その手続きを「建築確認申請」といいます。

この「建築確認申請」がけっこう厄介で、これをする場合は建築士事務所に依頼しなければならず、けっこうな費用が必要になります。
しかもこれをするには建物を新築した時に国が指定した検査機関がしっかりと法律を守って建てられているか検査したことを証明する「完了検査済証」が必要になります。

古い建物だとこの「完了検査済証」が保管されてないケースが多く用途変更を諦めなければならないケースがとても多いのです。

ただこの「建築確認申請」は床面積が200㎡以下の場合は免除されます。

この免除によって延べ床面積200㎡以下で旅館業をとるハードルが物凄く低くなっています。
なので旅館業の許可をとって民泊を始めたい場合は延べ床面積200㎡以下の建物を選ぶのがオススメです。

補足のポイント

もしアナタが建物の全体ではなく一部分のみ(例えば4階建ての建物の3~4階など)で旅館業の許可を取りたい場合はそれも可能です。
ただその場合、旅館業の許可とそれ以外の部分をどのように区分けする必要があるかは自治体によって変わってくるので購入する前に必ず保健所や建築課に確認するようにしましょう。

また、自治体によっては民泊の宿泊客とその他の部分の利用者が同じ通路を通ってはいけないという上乗せ規制をしているところがあるのでそちらも忘れずに事前に確認しておきましょう。

ポイント④「建物の階数」

4つ目は”建物の階数”です。
結論から言うと、階数は2階建て以下が一番民泊に向いています。

色々と理由はあるのですが一番の理由は3階建ての一軒家の場合、”竪穴区画”というものが必要になるからです。
この竪穴区画とは何かと言うと、下の図のように階段と一部の廊下を併せた”階段室”と客室などのその他の部屋が分かれている状態のことです。

これはもし火事が起きて避難をすることになった時、煙が階段にまわらないようにして安全に避難ができるようにするために、3階建て以上の建物で旅館業を営業する場合に必要だと建築基準法で決められています。

3階建ての戸建て他にも色々とハードルがあるので詳しい内容は「【民泊の始め方】3階建ての空き家を民泊にリノベーションする方法」を読んでみてください。

ポイント⑤「再建築不可ではない?」

そして続いて「再建築不可の物件ではないか」を確認しましょう。
再建築不可の物件はほぼ確実に旅館業の許可をとることができないので、民泊新法でしか営業することができないと考えておいてください。

理由は再建築不可の物件はそのほとんどが道路に敷地が接道していないからです。
建築基準法には”接道義務”というものがあり、敷地に建物を建てる時、必ず道路に2m以上接していなければならないと決められています。

再建築不可の物件はこれを満たしていない場合がほとんどです。
そのためその敷地には新しく建物を建てることができないと同時に、既にそこに建っている建物でも旅館業の許可を取れないということです。

また、東京都で旅館業を取る場合はこの接道が4m以上必要になるので注意しましょう。

ポイント⑥「違法増築はしていない?」

最後のポイントは「違法増築していないか」です。

当然ですが違法増築した部分はそもそも”違法”なのでその部分は法律上認められていません。
そのためその建物は”違法建築物”ということになります。

そこの部分について判断するのは役所の建築課になり、ほとんどの場合、旅館業の許可をとることは認められません。
ただ、可能性としてはゼロではありません。
しっかりと図面などの資料を持っていって違法増築されていることを説明をし、相談をすれば認めてくれるケースもあります。

ただリスクが高いので違法増築している物件を購入するのは私はあまりオススメしません。

補足のポイント

民泊新法の場合、用途は”居宅”のままなので違法増築していても届出は受理される可能性が高いです。
ただ、保健所から建築課の判断を仰ぐように言われた場合は届出が認められない場合もあるので注意しましょう。

まとめ

今回は民泊を始めるために外せない空き家選びのポイント6つを解説しました。

是非今回の内容を物件選びの参考にしていただければと思います。
また、怪しい物件の場合は購入する前に必ず自治体の窓口にしっかり確認するようにしましょう。

アナタの物件選びが上手くいくことを心から願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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